はぶあぶれーく

IT技術の勉強に関して記録していく備忘録的なものです。

新入社員向けプログラミング研修の講師をした時に意識したこと

私はこれまでに新入社員研修のサブ講師を2回、他にも研修のメイン講師を1回経験させていただきました。

メインとサブ、どちらも経験した結果、私はサブ講師の方が性に合ってるなと思いました。理由としては、サブ講師の方が受講生を一人一人じっくり見れるし、話せるからです。メイン講師だとどうしてもカリキュラムの進行に頭を使ってしまって、ウロウロして全員の様子を見るということが難しかったです。もしかしたら慣れの問題かも知れませんが。

これまで講師経験をさせてもらって、自分でここは意識したな、という点をまとめておこうかなと思い、書くことにしました。主にサブ講師の視点です。

私が携わった新入社員研修の形式は、だいたい30人ぐらいが同じ教室にいて、5〜6人ぐらいで机を固めて島を作って研修に取り組んでいました。最初にメイン講師の講義を聞いて、その後に実習に取り組むというのを繰り返すというのがメインの進行でした。

サブ講師は、主に実習中に教室内をウロウロして、質問に答えたりちょっかいをかけたりする仕事です。

自分から声をかける

1日か2日経つと、実習中に、だいたい自分から手を挙げて質問をしてくる受講生と、そうじゃない受講生がわかってきます。自分から手を挙げてくる方は問題ないのですが、手を上げない方は、以下の3パターンがあるかなと思います。

  1. 詰まっているけど自分から手を挙げれない
  2. 詰まっているけど自分で考えたい
  3. サクサクと進んでいる


この3パターンは、見た目ではあまりわかりませんでした。3のサクサクと進んでいるというのは、「教材を見たり、自分で調べながら進めていけてる」という感じなので、教材を見ている間などは手が止まっているようにも見えるからです。

まずすくい上げたいのは1です。前述した通り見た目ではわからないため、片っ端から声をかけます。最初の2日〜3日ぐらいでとりあえず全員に一度は声をかけるようにしました。そうすることで、なるべく自分に対して声をかけやすい雰囲気を作ろうと思ったからです。ここで受講生と同じ視座に立って、「これめんどくさいよね」とか「確かにここわかりにくいね」とか、もしくは研修に関係ない雑談をしたりすると、質問が増えた気がします。

ただ、人見知りの方はやっぱりいるので、明らかに詰まっている様子で、声をかけても質問が出ないこともありました。その場合も根気よくこちらから声をかけていると自分から手を挙げてくれるようになりました。そういう瞬間はとても嬉しいです。

自分で考える機会を奪わない

上記の2のパターンで、自分で考えたいという方についてです。とは言っても、考えてもわからないようなことを考えていれば、すぐに教えるようにしていましたが。

こちらから「詰まっていますか?」という風に声をかけると、「詰まってるなら質問しろよ」という様なプレッシャーを感じるのか、自分で考えるのをやめて質問を投げてくる人がほとんどの様に感じられました。なので、私は声をかけるときに「助けましょうか? それとももう少し自分で考えますか?」と聞くようにしました。すると、「もう少し自分で考えます」という人が明らかに増えました。

「もう少し自分で考えます」と答えた人には少し時間を置いて改めて様子を伺いに行くようにしました。「さっきの解決しましたか?」と聞いて、嬉しそうに「解決しました!」と言われたら、良かったなと思います。自分で解決するしていくことでモチベーションアップにも繋がりますので、良い循環にもなるかと思います。解決してなかった場合も、少し時間を置くことで問題点を整理できたのか、割と質問が理路整然としていることが多かったように感じられました。

わからないことを誤魔化さない

初学者の質問は、割と深いものが多く、私のまだまだ浅い知識では太刀打ちできないこともままありました。そういう時に、誤魔化さずにわからないものはわからないとはっきり言うようにしていました。受講生達は頭が良いので、変に曖昧な説明をすると「こいつわかってねえのに誤魔化してるな」と思われそうだったからです。そうすると、正直にわからないと言うよりも格段に信頼を落とすことになるかと思います。講師が不誠実なところを見せると一気に信用がなくなり、その後とてもやりにくくなるかと思うので、わからないことは正直にわからないと言うべきかなと。

ただし、わからないと言う時は、必ずセットで「調べてわかったら共有しますね」と言うようにしていました。そして大概は自席でネットで調べるか、帰って書籍を読んだりコードを書いたりして次の日に伝えることをしていました。確信がなければ、「おそらくこうだと思うけど、間違ってたらごめんね」と予防線を貼って断言をしないようにしたりもしていました(笑)
ただ、これもあまり乱用すると信用を無くすかなと思ったので、断言できるところはなるべく自信を持って断言するようにしていました。自信のない講師についていこうと思う受講生は少ないでしょうから。
なるべく「わからない」と言わないために、あらかじめ質問されそうだと思ったことは、事前に勉強することも多かったです。

ポジティブフィードバックを忘れない

これがなかなか難しいのですが、指摘する時に直すべきところばかり注意したり、ただ質問に答えるだけだと、できているところまでダメだと思ってしまいがちです。ですので、良いところは良いとはっきりいってあげることで、その人の良いところをキープすることが大事だと思いました。ポジティブフィードバックをしないと、「あれ? こういうところ良かったのになんでやらなくなっちゃったの?」ってことがあったりします。良いところは良いとはっきり言ってあげると、自信を持ってできるし、モチベーションにも繋がるかと思います。

受講生同士で教え合っている時は介入しない

これは私のスタンスとして、そうしているだけなのですが、受講生同士で教え合っている時は介入しないようにしています。教え合っている時って、講師がちょっとでも側に立つと講師の顔を伺ってしまうんです。「私の説明合ってますよね……?」という具合に。そして段々と自信がなくなってきて、最終的に講師に聞く、という流れになるケースが非常に多かったです。せっかく自分の理解を言語化できてるのに勿体無いなと。

これについては難しくて、せっかく教え合っていても間違った知識を定着させていたら元も子もないから、側で聞いていて間違った時に修正してあげたいという気持ちもあります。でもやっぱりそうすると説明している方は段々自信を無くしてきちゃうので、教える側に立たなくなっちゃったりして……。
ですので、私は受講生が教え合っている時はなるべく離れて、会話が終わった頃ぐらいに、「さっきなんの話してたんですか?」という形で聞くようにしていました。その時に間違ったことを言っていたら修正するようにしていました。もちろんポジティブフィードバックは忘れずに。
具体的な言葉としては「人に説明したことで自分の理解も深まったんじゃないですか?」とか「このグループには◯◯さん(教えていた人)がいるからサブ講師としてはとても楽ですね〜」とか言っていました。前述したように、間違ったことを教えてしまったのを気に病んで教えることに消極的になってほしくなかったからです。教えることは良いことなんだよ、と暗に言ってるつもりでした。